森羅咆哮事前評価:ウィッチ編
総評
ウィッチは運命の導きがローテ落ちすることでスペル軸や機械軸に打撃がありそうでしたが、入れ替わるようにカオスウィザードが追加されました。
このおかげで機械ウィッチとソロモンウィッチは前環境とほとんど変わらないリストを使うことができます。
手札から打点を出せるデッキや序盤からフォロワーの並ぶデッキが増えるため機械ウィッチに前環境ほどの優位性があるかは未知数ですが、強さの保証されたデッキであるのは間違いないため環境に居座り続けそうです。
カオスウィザードを含むウィッチの多くの新カードは、新規アーキタイプであるライリーウィッチに入るカードです。
このデッキは最高速度で劣る代わりに安定感を得た豪風リノエルフというイメージだと思っています。プレイングはこちらの方がわかりやすいのでランクマッチでの人気が出そうなデッキです。
ライリーの直接召喚自体は8,9ターン目前後で、AoEも持っており自陣にフォロワーもある程度並ぶためミッドレンジ系のデッキに対しては有利に立ち回れそうです。
ただ勝ち手段がリノエルフと似通っているうえにライリーは1体ずつ直接召喚されるため、リノエルフと同じメタカードでより強固に対策されてしまうのが少し厳しいところです。
特に安息の領域を入れたエイラビショップには大きな不利がつくため、デッキとしての活躍はメタ次第になるでしょう。(そのため、初日に握るデッキとしてエイラビショップはかなりおすすめです)
またアンリミテッドでも使えそうな軽量スペルが増えたのも今回のウィッチの大きな収穫です。
特にマナリアの叡智はキーカードのデッキへの埋め直しが可能な上に1枚で3枚分のスペルになる優秀なカードで、カオスウィザードとともにウィッチクラス全体の底上げになり得るカードだといえます。
逆に秘術ウィッチは静寂の実験室の再録があったものの、それ以外でパンチのある高レアカードを貰えなかったためもう少し厳しい立ち位置を迫られそうです。
レジェンドレア
極点のエレメンタル
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…C
2pick評価…B
アクセラレートはアミュレット限定の対空射撃で、ナテラの大樹であれば3点、他のアミュレットであれば2点ダメージになります。
本体は7/3/3守護+AoEで、同じ条件で2点ダメージか3点ダメージを撃ち出します。
…なんかもう書いてあることがひたすらに弱いです。
自分のフォロワーは対象に取れないうえに実質ナテラの大樹限定の対空射撃という微妙な気持ちにさせられるアクセラレートに、トリル+デビルソングと変わらないスタッツダメージでありながら条件として大樹の自己バウンスをしなければならない本体。
他クラスの既存カードの下位互換に近く、これ本当にウィッチの自然軸を担うレジェンドカードですか?と愚痴を言いたくなります。
ただ大樹のプレイ回数を稼ぐという一点においては、このカードは馬鹿にできない働きをします。
瞬間的に1コスト3点除去として使えるのは対空射撃と同じであり、大樹をバウンスすることでライリーの直接召喚が近づくため実質的には2コスト3点除去よりも強い働きをします。
物足りない本体性能も、ライリー直接召喚まで耐えきることが大事なデッキコンセプトと噛み合っており、呪いの言霊・ジンジャーとはかなり相性が良いため進化タッチの構築ではさらに輝きます。
このようにライリーウィッチとの相性は非常に良好であり、基本的には必須枠として採用されることになりそうです。
正直ライリーの直接召喚テキストがなければかなり弱いカードなので、レジェンドの威厳がなさすぎる気はするんですが…。
2pickでは本体スタッツは寂しいですが貴重なAoEであり、アクセラレートで軽量除去としても使えるため使い勝手の良いカード…と思いきや、そもそも自陣にアミュレットが存在しないとアクセラレートと本体のファンファーレが発動しません。
自然カードに新弾ボーナスがかかる次環境はともかく、アミュレット生成カードの少ない環境になるとドンドン使い勝手が悪くなりそうです。
魔人の使役者
ローテーション評価…C
アンリミテッド評価…D
2pick評価…A
ファンファーレで魔神と称して過去の強力な他クラスのレジェンドカードをデッキ外から連れてくることができます。
魔将軍・ヘクターと昏き底より出でるものはローテ落ちの後にナーフ解除されているため、なんと全盛期フルパワーの能力のものがローテーションで使えます。
とてもロマンあふれるカードではあるものの、持ってくる魔神は完全にランダムです。
3ターン目にプレイしたら7択ですし、スペルブーストを溜めて3つの願いを叶えたとしてもヘクター(もしくは任意の魔神)を引ける確率は43%しかありません。
毎回ヘクターを引けるならもちろん強力ですが、現実的にはランダム要素が強く、状況次第ですがジライヤと断罪者・シルヴィアがかなりハズレ気味になっています。
使役者や魔神を出すターンはスペルブーストも大樹カウントも進まないため、他カードとのシナジーを見出すのも難しいです。
ウィッチの有力デッキは、機械にせよ大樹にせよスペルにせよカード間のシナジーが重要なデッキが多く、単体でしか働かないこのカードを入れる余地はなさそうに思えます。
また自身のスペルブースト効果も、スペルブーストが12も溜まっていれば魔神連打よりも強い行動はいくらでもある時間帯です。
そもそもスペルブーストカードとしては前弾のアディショナルカードで同じコストの究極錬成が追加されたばかりで、魔神の使役者とはスペルブーストの恩恵が違いすぎます。
正直このカードを積むことで勝率の上がるデッキがあまり想像できません。どうしても使いたいならなんとかしてヘクターを引きましょう。
2pickではランダムのどれを引いてもさすがに強力でしょう。基本的にはスペルブーストは狙わずさっさとプレイするのが吉です。
ゴールドレア
エレメントシャーマン・ライリー
ローテーション評価…S
アンリミテッド評価…B
2pick評価…D
ウィッチの自然シナジーの真のボスです。ナテラの大樹のプレイ数に応じて攻撃力が上がっていく疾走フォロワーで、ナテラの大樹のプレイ回数が7を超えるとデッキから0コストで直接召喚されます。
プレイ回数が7であれば9/8/6疾走です。0コストで出てきていいカードではありません。
通常こういう直接召喚持ちのカードは手札に来てしまったときに泣く羽目になりますが、ライリーの場合は9ターン目に直接召喚したライリーと手出しのライリーでリーサルを取る動きも充分考えられるため、3枚全て引いてしまわない限りはそれほどひどいことになりません。
新カードにマナリアの叡智もあるため直接召喚ができなくなる心配はほとんどなく、9コスト疾走フォロワーとしても単純に強力なので大樹のプレイ回数さえ達成できれば非常に安定感のあるフィニッシャーとして運用できます。
デッキタイプ全体としては勝ち手段をライリーに依存するため安息の領域の突破手段が乏しいなどの穴はあるものの、フィニッシャーとしてのライリーの性能は凄まじいものがあります。
2pickでは一転弱いカードです。ナテラの大樹のプレイカウントを稼ぐのは容易ではなく、直接召喚は夢のまた夢でしょう。
カオスウィザード
ローテーション評価…S
アンリミテッド評価…S
2pick評価…B
フォロワーになった運命の導きです。フォロワーなのでプレイ時にスペルブーストは進みませんが進化時に1ブースト進むようになっています。
運命の導きというカードがウィッチに於いて最強なのは知っての通りだと思います。
このカードは1/2の本体がついていますが、単純に打点になったり進化先として使えるなどの利点もあれば、0コストスペルでなくなり盤面を埋めてしまうという欠点もあります。
特に機械ウィッチでは盤面を埋めるデメリットは若干痛いため、デッキとしてはほんの少しだけ弱体化したといえるかもしれません。
とはいえスペルブーストを取り扱うデッキでこのカードが使われないということはあり得ないと言え、今後15か月間のローテーションウィッチを支えるカードになるでしょう。
アンリミテッドではなんと運命の導きとの0コスト2ドロー6枚体制が可能になります。従来よりも1コストスペルをふんだんに投入した高速デッキが可能になりそうです。
2pickでも2ブーストすればコスト相応なのでドローソースとしては悪くなさそうです。デッキのスペル枚数によって評価は前後するでしょう。
シルバーレア
パイロエレメントソーサラー
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…B
2pick評価…A
アミュレットのバウンスを条件にAoEを撃てる3/2/3です。「他の」フォロワーと書かれていないため、自分の炎で自分にもダメージが入るお茶目さんです。
アミュレットのバウンスが条件で、自身にもダメージが入るため実質3/2/2か3/2/1になりますが、ナテラの大樹を戻せば3コストの2点AoEに2/1の本体が付いてくるという非常に効率のいいAoEになります。
自然エルフや自然ネクロ、機械ロイヤルなどの横並びにしっかり刺さり、ブルームスピリットのような体力3以上のフォロワーも本体の進化で倒せます。
そのため、コンセプト的には横並べデッキに不利の付きかねないライリーウィッチのデッキ相性に大きな影響を与えるカードです。
このカードが存在するおかげでナテラの大樹を複数回プレイする隙を捻出することが可能になるマッチアップは結構あるでしょう。
ライリーウィッチの守備の要として使われるカードになりそうです。逆に対ライリーウィッチでは最警戒カードなので、相手取るときには体力3以上でフォロワーを残すことを徹底する必要があるでしょう。
2pickではシルバー枠でpickできる全体除去なので不利盤面を打開できる可能性があります。pickにおいても対ウィッチでの優先的なケア対象になりそうです。
静寂の実験室
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…ー
2pick評価…B
秘術の安定2コスト枠が再録されました。
今までの2コスト枠が体力1のラビットメイジだったことを考えると格段に強いカードです。
素直な性能で2/2/2なので単純に強く、秘術の確実な強化だといえます。
ただこのカード以外で秘術にまともな強化がなく、屋台骨を支えるカードが増えただけでは環境で取り上げられるには不足だと思われます。
2pickでも秘術を消費して強いカードが少なく、ナテラの大樹で盤面が埋まりやすいため取りすぎると危険かもしれません。
エレメンタル・マナ
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…A
2pick評価…B
ウィッチのマナの追加効果はランダムな対象へのルーンの貫きです。
10ターン目までの性能は一緒ですが、ウィッチの場合は5ターン目以降ならスペルブースト無しで撃てる0コストスペルであるという点に価値があります。
単体ではドロー効果はなく、ナテラの大樹が手札を埋めるためどんなデッキでも使えるほどの汎用性はありませんが、スペルブースト速度を重視するなら選択肢に入ってきそうです。
もちろんライリーウィッチなら必須枠で、このカードと荒野の休息のおかげでスペルとのハイブリットが組みやすくなっています。
アンリミテッドでもスペルウィッチの更なる速度の向上が見込めるため盤面を埋めても問題ないデッキであれば有力になりそうです。
2pickでは大樹が既にあればおまけ付きの知恵の光として使えそうです。ライリーの達成が難しいので大樹のプレイ回数を稼ぐ意味は薄いでしょう。
ブロンズレア
アースエレメンタラー
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…B
2pick評価…S
ウィッチの2/2/2大樹生成サイクルです。デッキが20枚以下であれば4/4になります。
この条件は今までだと2pick限定の効果でしたが、自然ウィッチはライリーの召喚準備の過程でデッキをどんどん掘り進めるため現実的なターンに4/4での召喚が狙えそうです。
ただその頃にはライリー召喚の準備が整っていることも多いでしょうし、試合の趨勢に関わる効果であるかは微妙なところです。
まぁそんなことはあまり関係なく、大樹をくれる2/2/2が採用されないはずがないためライリーウィッチで確実に3投されるでしょう。
2pickではかなりイカれたパワーカードです。大樹と合計しても3/4/4スタッツなのに実質キャントリップが付いているんですが…。大丈夫なんですかね?
インパルスアルケミスト
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…A
2pick評価…A
3/2/3スタッツで、盤面のアミュレットを複製して手札に1コスト軽い状態で加えます。
ナテラの大樹が盤面にあれば0コスト1ドローのナテラの大樹を手札に加えることができます。
3/2/3+1ドローはアイテール並みの効率ですし、サーチでない代わりにデッキコンセプトである大樹カウントを稼ぐことができるので、効果発動が出来ればアイテールと比べても遜色のないパワーカードだといえるでしょう。
カードテキストがナテラの大樹に依存していないので秘術ウィッチにも採用できるため、幅の広い活躍が期待できます。
ライリーウィッチでは3投確定で、アンリミテッドの秘術まで採用検討できる優秀なリソースカードになるでしょう。
2pickでは効果発動できなくても最低限のスタッツを持っているのが嬉しいです。大樹シナジーを期待して複数枚pickしてもいいカードでしょう。
豪腕のゴーレム
ローテーション評価…C
アンリミテッド評価…D
2pick評価…B
2/2/2で、土の印があれば突進付与された上で横にジャンクゴーレムを出します。エンハンスで7/6/6としてもプレイできます。
土の印を使って出すにはカードパワーの不足が顕著です。効果発動しても2点除去にしかならず、ジャンクゴーレムの恩恵も限定的です。
エンハンスで6/6突進が守護裏に隠れる状況はそこそこ強いですが、構築の7ターン目で喜んでやりたい動きとはいえないでしょう。
土の印は滅拳の魔女・マギサのような複数消費の強い利用先に残しておきたいことが多く、秘術デッキでも採用されることはなさそうです。
2pickではエンハンス持ちの2/2/2なのでそこそこ使えます。盤面を圧迫する土の印の軽い消費先にもなるのも嬉しいです。
マナリアの叡智
ローテーション評価…A
アンリミテッド評価…A
2pick評価…A
ウィッチ待望のカードアドバンテージを損なわずに手札をデッキに戻せるカードです。
直接召喚を持つライリーや、ソロモンの指輪から召喚したいライオなどが手札に来てしまったときにデッキに戻すことができます。
直接召喚にこだわらずとも、進化権が無くなったあとのテトラ、ライオ後のエレノア、大樹が盤面に出たあとの荒野の案内人などの不要牌をデッキに戻して手札の質を上げられるため使いやすいです。
アンリミテッドであれば被ったドロシーを戻したりマナリアシナジーと組み合わせることも可能で、ローテーションアンリミテッド問わず使っていけるでしょう。
2pickでもその時点で一番要らないカードをデッキへ捨てながら優秀なスペルを2枚も獲得できるため、リソース面でもシナジー面でも優秀です。